the Autumn(秋)

青く晴れた秋の空に、おもちゃ工場の鐘の音がひびきわたると、あちこちから
森のこびとたちが、おもちゃ工場に集まってきます。森のこびとたちがサンタさんといっしょに、
今年のクリスマスのためにおもちゃ会議を開くのです。
サンタワールドは、こうして世界中の子供たちのクリスマスのために動き始めます。
サンタワールドの森が秋の色に染まる頃、世界各地から手紙が届き始めます。
サンタさんはそれをひとつひとつ読んで、手紙を送ってくれた子供たちの声を感じとってい
ます。サンタさんが、とても大切にしているひとときです。
今日もロッキング・チェアーの横に、犬のジプシーとねこのホーリーがきて、
そんなサンタさんを見あげています。
すると、サンタさんが心配そうにジプシーにいいました。
「ジプシー、すまないが、ホープフルを呼んできてくれないか」
すぐにやってきたこびとのホープフルは、サンタさんから1通の手紙を見せられました。
『サンタのおじさんへ。ことしのクリスマスプレゼントにてっぽうを下さい。
だっていろんなものをやっつけられるからかっこいいと思うんだ』
ホープフルはじっと手紙の文字を見つめます。そして、サンタさんにいいました。
「サンタさん、だいじょうぶですよ。この子は心の底からこのようなことを
考えているわけではないと思います。でも心配でしょう。
わたしがちょっと本人のようすを見に行ってきます」
ホープフルは文字から書いた人の性格を読み取る名人なのです。すぐに手紙を書いた
子供のもとへと飛びたちました。森のこびとたちは、ものすごいスピードで世界中を動き
まわることができるのです。そして数日後、うれしそうな顔でサンタさんの家に帰ってきました。
「サンタさん、やっぱりあの子も本当はやさしい心の子でした。
プレゼントにちがうおもちゃが届いてもきっとよろこんでくれるはずです」
サンタさんは、ホープフルの報告ににっこり笑って大きくうなずきました。
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